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毒泉

一  孟獲は自陣に帰った。だが数日はぼんやり考えこんでばかりいる。弟の孟優が、 「兄貴、とても孔明にはかなわないから、いっそ降参したらどうかね」  と意見すると、彼は俄然、魂が入ったようにくわっと眼をむいた。 「ばかをぬ...

出師の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
白帝城

一  敵を誘うに、漫罵愚弄して彼の怒りを駆ろうとするのは、もう兵法として古すぎる。  で、蜀軍はわざと虚陣の油断を見せたり、弱兵を前に立てたり、日々工夫して、釣りだしを策してみたが、呉は土龍のように、依然として陣地から一歩も出て...

出師の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
赤兎馬

一  その日の戦いは、董卓の大敗に帰してしまった。  呂布の勇猛には、それに当る者もなかった。丁原も、十方に馬を躍らせて、董卓軍を蹴ちらし、大将董卓のすがたを乱軍の中に見かけると、 「簒逆の賊、これにありしか」と、馳け迫って...

本文 桃園の巻 三国志
約2ヶ月 ago
舌戦

一  長江千里、夜が明けても日が暮れても、江岸の風景は何の変化もない。水は黄色く、ただ滔々淙々と舷を洗う音のみ耳につく。  船は夜昼なく、呉の北端、柴桑郡をさして下っている。――その途中、魯粛はひそかにこう考えた。 「痩せて...

本文 三国志 赤壁の巻
約2ヶ月 ago
西蜀四十一州図

一  覇者は己れを凌ぐ者を忌む。  張松の眼つきも態度も、曹操は初めから虫が好かない。  しかも、彼の誇る、虎衛軍五万の教練を陪観するに、いかにも冷笑している風がある。曹操たる者、怒気を発せずにはいられなかった。 「張松...

本文 望蜀の巻 三国志
約2ヶ月 ago
転戦

一  それより前に、関羽は、玄徳の書をたずさえて、幽州涿郡(河北省・涿県)の大守劉焉のもとへ使いしていた。  太守劉焉は、何事かと、関羽を城館に入れて、庁堂で接見した。  関羽は、礼をほどこして後、 「太守には今、士を四...

本文 桃園の巻 三国志
約2ヶ月 ago
八陣展開

一  魏は渭水を前に。蜀は祁山をうしろに。――対陣のまま秋に入った。 「曹真の病は重態とみえる……」  一日、孔明は敵のほうをながめて呟いた。  斜谷から敗退以後、魏の大都督曹真が病に籠るとの風説はかねて伝わっていたが、...

五丈原の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
進軍

一  劉璋は面に狼狽のいろを隠せなかった。 「曹操にそんな野心があってはどうもならん。張魯も蜀を狙う狼。曹操も蜀をうかがう虎。いったいどうしたらいいのじゃ」  気が弱い、策がない。劉璋はただ不安に駆られるばかりな眼をして云っ...

本文 望蜀の巻 三国志
約2ヶ月 ago

一  この時の会戦では、司馬懿は全く一敗地にまみれ去ったものといえる。魏軍の損害もまたおびただしい。以来、渭水の陣営は、内に深く守って、ふたたび鳴りをひそめてしまった。  孔明は、拠るところの祁山へ兵を収めたが、勝ち軍に驕るなか...

五丈原の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
御林の火

一  街は戸ごとに燈火をつらね、諸門の陣々も篝に染まり、人の寄るところ、家のあるところ、五彩の燈にいろどられているため、こよい正月十五日の夜、天上一輪の月は、なおさら美しく見えた。  王必の営中では、宵の口から酒宴がひらかれ、将...

本文 三国志 遠南の巻
約2ヶ月 ago
牛と「いなご」

一  穴を出ない虎は狩れない。  曹操は、あらゆる策をめぐらして、呂布へ挑んだが、 「もうその策には乗らない」と、彼は容易に、濮陽から出なかった。  そのくせ、前線と前線との、偵察兵や小部隊は日々夜々小ぜりあいをくり返し...

群星の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
祁山の野

一  蜀軍の武威は大いに振った。行くところ敵なきその形容はまさに、原書三国志の記述に髣髴たるものがうかがわれる。 ――蜀ノ建興五年冬、孔明スデニ天水、南安、安定ノ三郡ヲ攻取リ、ソノ威、遠近ヲ靡カセ、大軍スデニ祁山ニ出デ、渭水ノ西ニ...

五丈原の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
呉の情熱

一  眼を転じて、南方を見よう。  呉は、その後、どういう推移と発展をとげていたろうか。  ここ数年を見較べるに――  曹操は、北方攻略という大事業をなしとげている。  玄徳のほうは、それに反して、逆境また逆境だった...

本文 三国志 赤壁の巻
約2ヶ月 ago
酔計二花

一  周瑜は、呉の先主、孫策と同じ年であった。  また彼の妻は、策の妃の妹であるから、現在の呉主孫権と周瑜とのあいだは、義兄弟に当るわけである。  彼は、盧江の生れで、字を公瑾といい、孫策に知られてその将となるや、わずか二十...

本文 三国志 赤壁の巻
約2ヶ月 ago
荊州往来

一  周瑜は、その後も柴桑にいて瘡養生をしていたが、勅使に接して、思いがけぬ叙封の沙汰を拝すると、たちまち病も忘れて、呉侯孫権へ、次のような書簡をしたためて送った。 天子、詔を降して、いま不肖周瑜に、南郡の太守に封ずとの恩命があり...

本文 望蜀の巻 三国志
約2ヶ月 ago
太医吉平

一  そのむかし、まだ洛陽の一皇宮警吏にすぎなかった頃、曹操という白面の青年から、おれの将来を卜してくれといわれて、 「おまえは治世の能臣だが、また乱世の奸雄だ」  と予言したのは、洛陽の名士許子将という人相観だった。 ...

臣道の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
巫女

一 「なに、無条件で和睦せよと。ばかをいい給え」  郭汜は、耳もかさない。  それのみか、不意に、兵に令を下して、楊彪について来た大臣以下宮人など、六十余人の者を一からげに縛ってしまった。 「これは乱暴だ。和議の媒介に参...

本文 草莽の巻 三国志
約2ヶ月 ago
奇計

一  そこを去って、蕭関の砦を後にすると、陳登は、暗夜に鞭をあげて、夜明け頃までにはまた、呂布の陣へ帰っていた。  待ちかねていた呂布は、 「どうだった? ……蕭関の様子は」と、すぐ糺した。  陳登はわざと眉を曇らして、...

本文 草莽の巻 三国志
約2ヶ月 ago
文武競春

一  冀北の強国、袁紹が亡びてから今年九年目、人文すべて革まったが、秋去れば冬、冬去れば春、四季の風物だけは変らなかった。  そして今し、建安十五年の春。  鄴城(河北省)の銅雀台は、足かけ八年にわたる大工事の落成を告げてい...

本文 望蜀の巻 三国志
約2ヶ月 ago
鸚鵡州

一  禰衡が江夏へ遊びに行っている間に、曹操の敵たる袁紹のほうからも、国使を差向けて、友好を求めてきた。  荊州は両国からひッぱり凧になったわけである。いずれを選ぶも劉表の胸ひとつにある。こうなると劉表は慾目に迷って、かえって大...

臣道の巻 本文 三国志
約2ヶ月 ago
緑林の宮

一  楊奉の部下に、徐晃、字を公明と称ぶ勇士がある。  栗色の駿馬に乗り、大斧をふりかぶって、郭汜の人数を蹴ちらして来た。それに当る者は、ほとんど血煙と化して、満足な形骸も止めなかった。  郭汜の手勢を潰滅してしまうと楊奉は...

本文 草莽の巻 三国志
約2ヶ月 ago
乱兆

一  時は、中平六年の夏だった。  洛陽宮のうちに、霊帝は重い病にかかられた。  帝は病の篤きを知られたか、 「何進をよべ」  と、病褥から仰せ出された。  大将軍何進は、すぐ参内した。何進はもと牛や豚を屠殺して...

本文 桃園の巻 三国志
約2ヶ月 ago