一 劉備玄徳は、毎日、無為な日に苦しんでいた。 ここ河北の首府、冀州城のうちに身をよせてから、賓客の礼遇をうけて、なに不自由もなさそうだが、心は日夜楽しまない容子に見える。 なんといっても居候の境遇である。それに、万里...
一 樊城へ逃げ帰った残兵は、口々に敗戦の始末を訴えた。しかも呂曠、呂翔の二大将は、いくら待っても城へ帰ってこなかった。 すると程経てから、 「二大将は、残りの敗軍をひきいて帰る途中、山間の狭道に待ち伏せていた燕人張飛と名...