冒頭 南郊(なんこう)とは、都城や主要都市の南方にある郊外一帯、またはそこで国家的な祭祀や大礼を行うために設けられた壇場を指す語です。吉川英治『三国志』では、君主の即位儀礼の場や、罪人の首級をさらす場所として用いられます 。...
一 蜀魏両国の消耗をよろこんで、その大戦のいよいよ長くいよいよ酷烈になるのを希っていたのは、いうまでもなく呉であった。 この時に当って、呉王孫権は、宿年の野望をついに表面にした。すなわち彼もまた、魏や蜀にならって、皇帝を僭称...
一 「劉氏。もし、劉氏ではありませんか」 誰か呼びかける人があった。 その日、劉玄徳は、朱雋の官邸を訪ねることがあって、王城内の禁門の辺りを歩いていた。 振向いてみると、それは郎中張均であった。張均は今、参内すると...