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火か人か

一  董承に対面を強いて、客堂で出会うとすぐに曹操は彼にただした。 「国舅のお手もとへは、予から出した招待の信箋が届かなかったであろうか」 「いや、ご書箋はいただいたが、折返して不参のおもむきを、書面でお断り申しあげてある」...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
鶏鳴

一  昼は人目につく。  董承は或る夜ひそかに、密詔をふところに秘めて頭巾に面をかくして、 「風雅の友が秦代の名硯を手に入れたので、詩会を催すというから、こよいは一人で行ってくる」  と、家人にさえ打明けず、ただ一人驢に...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
油情燈心

一 「ああ危なかった」  虎口をのがれたような心地を抱えて、董承はわが邸へいそいだ。  帰るとすぐ、彼は一室に閉じこもって、御衣と玉帯をあらためてみた。 「はてな。何物もないが?」  なお、御衣を振い、玉帯の裏表を調...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
美童

一  冬をこえて南枝の梅花のほころぶを見るとともに、董家の人々も眉をひらいた。近ごろ主人の董承はすっかり体も本復して、時おり後閣の春まだ浅い苑に逍遥する姿などを見かけるようになったからである。 「……雁が帰る。燕が来る。春は歩い...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
覆面の船団

一  夜靄は深くたれこめていた。二十余艘の兵船は、おのおの、纜から纜を一聯に長くつなぎ合い、徐々と北方へ向って、遡航していた。 「とんと、分りません」 「何がです」 「この船団の目的と、先生の心持が」 「は、は、は。...

本文 三国志 赤壁の巻
3 days ago
鳳雛去る

一  喪旗を垂れ、柩をのせた船は、哀々たる弔笛を流しながら、夜航して巴丘を出て、呉へ下って行った。 「なに、周瑜が死んだと?」  孫権は、彼の遺書を手にするまで、信じなかった。いや信じたくなかった。  周瑜の遺書には、 ...

本文 望蜀の巻 三国志
3 days ago
一竿翁

一  ここ四、五日というもの黄蓋は陣中の臥床に横たわったまま粥をすすって、日夜呻いていた。 「まったくお気の毒な目にあわれたものだ」  と、入れ代り立ちかわり諸将は彼の枕頭を見舞いに来た。  或る者は共に悲しみ、或る者は...

本文 三国志 赤壁の巻
3 days ago
転戦

一  それより前に、関羽は、玄徳の書をたずさえて、幽州涿郡(河北省・涿県)の大守劉焉のもとへ使いしていた。  太守劉焉は、何事かと、関羽を城館に入れて、庁堂で接見した。  関羽は、礼をほどこして後、 「太守には今、士を四...

本文 桃園の巻 三国志
3 days ago
酔計二花

一  周瑜は、呉の先主、孫策と同じ年であった。  また彼の妻は、策の妃の妹であるから、現在の呉主孫権と周瑜とのあいだは、義兄弟に当るわけである。  彼は、盧江の生れで、字を公瑾といい、孫策に知られてその将となるや、わずか二十...

本文 三国志 赤壁の巻
3 days ago
鳳雛・巣を出ず

一  いまの世の孫子呉子は我をおいてはなし――とひそかに自負している曹操である。一片の書簡を見るにも実に緻密冷静だった。蔡和、蔡仲はもとより自分の腹心の者だし、自分の息をかけて呉へ密偵に入れておいたものであるが、疑いないその二人から...

本文 三国志 赤壁の巻
3 days ago
太医吉平

一  そのむかし、まだ洛陽の一皇宮警吏にすぎなかった頃、曹操という白面の青年から、おれの将来を卜してくれといわれて、 「おまえは治世の能臣だが、また乱世の奸雄だ」  と予言したのは、洛陽の名士許子将という人相観だった。 ...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
呉子

人名 三国志
9 days ago