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溯江

一  遷都以後、日を経るに従って、長安の都は、おいおいに王城街の繁華を呈し、秩序も大いにあらたまって来た。  董卓の豪勢なることは、ここへ遷ってからも、相変らずだった。  彼は、天子を擁して、天子の後見をもって任じ、位は諸大...

群星の巻 本文 三国志
2 days ago
破軍星

一  七夕の宵だった。  城内の街々は、紅燈青燈に彩られている。  荊州の城中でも、毎年の例なので、孔明は、主君玄徳の留守ながら、祭を営み、酒宴をもうけて、諸大将をなぐさめていた。  すると、夜も更けてきた頃、一つの大き...

本文 三国志 遠南の巻
2 days ago
長坂橋

一  この日、曹操は景山の上から、軍の情勢をながめていたが、ふいに指さして、 「曹洪、曹洪。あれは誰だ。まるで無人の境を行くように、わが陣地を駆け破って通る不敵者は?」  と、早口に訊ねた。  曹洪を始め、そのほか群将も...

本文 三国志 赤壁の巻
2 days ago
黄忠の矢

一  このところ髀肉の嘆にたえないのは張飛であった。常に錦甲を身に飾って、玄徳や孔明のそばに立ち、お行儀のよい並び大名としているには適しない彼であった。 「趙雲すら桂陽城を奪って、すでに一功を立てたのに、先輩たるそれがしに、欠伸...

本文 望蜀の巻 三国志
2 days ago
藤甲蛮

一  すでに国なく、王宮もなく、行くに的もない孟獲は、悄然として、 「どこに落着いて、再挙を図ろうか」と、周囲の者に諮った。  彼の妻の弟、帯来がいった。 「ここから東南の方、七百里に、一つの国がある。烏戈国といって、国...

出師の巻 本文 三国志
2 days ago
立つ鳥の声

一  次の日の朝まだき。  徐庶は小鳥の声とともに邸を出ていた。ゆうべは夜もすがら寝もやらずに明かしたらしい瞼である。今朝、新野の城門を通った者では、彼が一番早かった。 「単福ではないか。いつにない早い出仕。何事が起ったのか...

孔明の巻 本文 三国志
2 days ago
一股傷折

一  張郃の言葉を不服そうに聞いていた夏侯淵は、自分の決意はまげられぬというように、 「予がこの地を守り、陣をなすこと久しい。この度の決戦に、万一他の将に功を奪わるるが如きことあらば、なんの面目あって魏王に見えん。御身、よろしく...

本文 三国志 遠南の巻
2 days ago
蜀また倣う

一  曹丕が大魏皇帝の位についたと伝え聞いて、蜀の成都にあって玄徳は、 「何たることだ!」と、悲憤して、日夜、世の逆しまを痛恨していた。  都を逐われた献帝は、その翌年、地方で薨去せられたという沙汰も聞えた。玄徳はさらに嘆き...

出師の巻 本文 三国志
2 days ago
食客

一  北方攻略の業はここにまず完成を見た。  次いで、曹操の胸に秘められているものは、いうまでもなく、南方討伐であろう。  が、彼は、冀州城の地がよほど気に入ったとみえて、ここに逗留していること久しかった。  一年余の工...

孔明の巻 本文 三国志
2 days ago
孔明・三擒三放の事

一  孟獲は山城に帰ると、諸洞の蛮将を呼び集めて、 「きょうも孔明に会って来た。あいつは俺が縛られて行っても、俺を殺すことができないのだ。なぜかといえば、俺は不死身だからな。奴らの刃を咬み折り、奴らの陣所を蹴破って帰るぐらいな芸...

出師の巻 本文 三国志
2 days ago
朝の月

一  七日にわたる婚儀の盛典やら祝賀の催しに、呉宮の内外から国中まで、 「めでたい。めでたい」  と、千載万歳を謳歌している中で、独りひそかに、 「何たることだ」と、予想の逆転と、計の齟齬に、鬱憤のやりばもなく、仮病をと...

本文 望蜀の巻 三国志
2 days ago
金雁橋

一  孔明が荊州を立つときに出した七月十日附の返簡の飛脚は、やがて玄徳の手にとどいた。 「おう、水陸二手にわかれ、即刻、蜀へ急ぐべしとある。――待ち遠しや、孔明、張飛のここにいたるは何日」  涪城に籠って、玄徳は、行く雲にも...

本文 三国志 遠南の巻
2 days ago
新野を捨てて

一  百万の軍旅は、いま河南の宛城(南陽)まで来て、近県の糧米や軍需品を徴発し、いよいよ進撃に移るべく、再整備をしていた。  そこへ、荊州から降参の使いとして、宋忠の一行が着いた。  宋忠は、宛城の中で、曹操に謁して、降参の...

本文 三国志 赤壁の巻
2 days ago
殺地の客

一  孔明の使命はまず成功したといってよい。呉の出師は思いどおり実現された。孔明はあらためて孫権に暇を告げ、その日、すこし遅れて一艘の軍船に身を託していた。  同舟の人々は、みな前線におもむく将士である。中に、程普、魯粛の二将も...

本文 三国志 赤壁の巻
2 days ago
漢中王に昇る

一  魏の勢力が、全面的に後退したあとは、当然、玄徳の蜀軍が、この地方を風靡した。  上庸も陥ち、金城も降った。  申耽、申儀などという旧漢中の豪将たちも、 「いまは誰のために戦わん」といって、みな蜀軍の麾下へ、降人とな...

本文 三国志 遠南の巻
2 days ago
降参船

一 「この大機会を逸してどうしましょうぞ」  という魯粛の諫めに励まされて、周瑜もにわかにふるい起ち、 「まず、甘寧を呼べ」と令し、営中の参謀部は、俄然、活気を呈した。 「甘寧にござりますが」 「おお、来たか」 ...

本文 望蜀の巻 三国志
2 days ago
出師の表

一  馬謖は云った。 「なぜか、司馬懿仲達という者は、あの才略を抱いて、久しく魏に仕えながら、魏では重く用いられていません。彼が曹操に侍いて、その図書寮に勤めていたのは、弱冠二十歳前後のことだと聞いています。曹操、曹丕、曹叡、三...

出師の巻 本文 三国志
2 days ago
檀渓を跳ぶ

一  蔡瑁と蔡夫人の調略は、その後もやまなかった。一度の失敗は、却ってそれをつのらせた傾きさえある。 「どうしても、玄徳を除かなければ――」と、躍起になって考えた。  けれども肝腎な劉表がそれを許さない。同じ漢室の裔ではある...

孔明の巻 本文 三国志
2 days ago
王風羽扇

一  蛮界幾千里、広さの果ても知れない。孔明の大軍は瀘水もうしろにして、さらに、前進をつづけていたが、幾十日も敵影を見なかった。  孟獲は、深く懲りたとみえる。蛮国の中心へ遠く退いて、入念に再起を計っていた。  蛮邦八境九十...

出師の巻 本文 三国志
2 days ago
鴛鴦陣

一  喬国老の邸では、この大賓をふいに迎えて、驚きと混雑に、ごった返した。 「えっ。皇叔と呉妹君との結婚の談があったのですって?」  初耳とみえて、喬国老は、桃のような血色を見せながら、眼をまろくした。 「しかし、それは...

本文 望蜀の巻 三国志
2 days ago
鶏肋

一  ここまでは敗走一路をたどってきた曹操も、わが子曹彰に行き会って、その新手五万の兵を見ると、俄然、鋭気を新たにして、急にこういう軍令を宣した。 「ここに斜谷の天嶮あり、ここに北夷を平げて、勇気凜絶の新手五万あり、加うるに、わ...

本文 三国志 遠南の巻
2 days ago
南風北春

一 「逃がしては!」と、徐盛は、水夫や帆綱の番を励まして、 「追いつけ。孔明の舟をやるな」と、舷を叩いて励ました。  先へ舟を早めていた孔明は、ふたたび後から追いついて来る呉の船を見た。孔明は、笑っていたが、彼と船中に対坐し...

本文 三国志 赤壁の巻
2 days ago
中原を指して

一  蜀の大軍は、沔陽(陝西省・沔県、漢中の西)まで進んで出た。ここまで来た時、 「魏は関西の精兵を以て、長安(陝西省・西安)に布陣し、大本営をそこにおいた」  という情報が的確になった。  いわゆる天下の嶮、蜀の桟道を...

五丈原の巻 本文 三国志
2 days ago
遺孤を託す

一  この年四月頃から蜀帝玄徳は永安宮の客地に病んで、病状日々に篤かった。 「いまは何刻か?」  枕前の燭を剪っていた寝ずの宿直や典医が、 「お目ざめでいられますか。いまは三更でございます」と、奏した。  白々と耀き...

出師の巻 本文 三国志
2 days ago
成都陥落

一  馬超は弱い。決して強いばかりの人間ではなかった。理に弱い。情にも弱い。  李恢はなお説いた。 「玄徳は、仁義にあつく、徳は四海に及び、賢を敬い、士をよく用いる。かならず大成する人だ。こういう公明な主をえらぶに、何でうし...

本文 三国志 遠南の巻
2 days ago