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草喰わぬ馬

一  関平も父の姿をさがし求めているうちに、朱然、潘璋の軍勢に生捕られた。そして荒縄にかけられて呉侯孫権の陣へひかれてゆく間も、父関羽の名を叫び、無念無念をくり返していた。  報を聞いて孫権は、翌る日、早暁に帳を出て、馬忠に関羽...

出師の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
具眼の士

一  多年軍需相として、重要な内政の一面に才腕をふるっていた李厳の退職は、何といっても、蜀軍の一時的休養と、延いては国内諸部面の大刷新を促さずにはおかなかった。  蜀道の嶮岨は、事実、誰がその責任者に当っても、克服することのでき...

五丈原の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
兄弟再会

一  その晩、山上の古城には、有るかぎりの燭がともされ、原始的な音楽が雲の中に聞えていた。  二夫人を迎えて張飛がなぐさめたのである。 「ここから汝南へは、山ひとこえですし、もう大船に乗った気で、ご安心くださるように」 ...

孔明の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
西涼ふたたび燃ゆ

一  忽然と、蒙古高原にあらわれて、胡夷の猛兵をしたがえ、隴西(甘粛省)の州郡をたちまち伐り奪って、日に日に旗を増している一軍があった。  建安十八年の秋八月である。この蒙古軍の大将は、さきに曹操に破られて、どこへか落ちて行った...

本文 三国志 遠南の巻
7ヶ月 ago
私情を斬る

一  漢中王の劉玄徳は、この春、建安二十五年をもって、ちょうど六十歳になった。魏の曹操より六ツ年下であった。  その曹操の死は、早くも成都に聞え、多年の好敵手を失った玄徳の胸中には、一抹落莫の感なきを得なかったろう。敵ながら惜し...

出師の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
酒中別人

一  葭萌関を退いた玄徳は、ひとまず涪城の城下に総軍をまとめ、涪水関を固めている高沛、楊懐の二将へ、 「お聞き及びのとおり、にわかに荊州へ立ち帰ることとなった。明日、関門をまかり通る」  と、使いをやって開門を促しておいた。...

本文 三国志 遠南の巻
7ヶ月 ago
二次出師表

一  蜀呉の同盟はここしばらく何の変更も見せていない。  孔明が南蛮に遠征する以前、魏の曹丕が大船艦を建造して呉への侵寇を企てた以前において、かの鄧芝を使いとして、呉に修交を求め、呉も張蘊を答礼によこして、それを機会にむすばれた...

五丈原の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
祁山の野

一  蜀軍の武威は大いに振った。行くところ敵なきその形容はまさに、原書三国志の記述に髣髴たるものがうかがわれる。 ――蜀ノ建興五年冬、孔明スデニ天水、南安、安定ノ三郡ヲ攻取リ、ソノ威、遠近ヲ靡カセ、大軍スデニ祁山ニ出デ、渭水ノ西ニ...

五丈原の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
呉の情熱

一  眼を転じて、南方を見よう。  呉は、その後、どういう推移と発展をとげていたろうか。  ここ数年を見較べるに――  曹操は、北方攻略という大事業をなしとげている。  玄徳のほうは、それに反して、逆境また逆境だった...

本文 三国志 赤壁の巻
7ヶ月 ago
烽火台

一  瑾の使いは失敗に帰した。ほうほうの態で呉へ帰り、ありのままを孫権に復命した。 「推参なる長髯獣め。われに荊州を奪るの力なしと見くびったか」  孫権は、荊州攻略の大兵をうごかさんとして、その建業城の大閣に、群臣の参集を求...

本文 三国志 遠南の巻
7ヶ月 ago
白門楼始末

一  曹操は、侍者に起されて、暁の寒い眠りをさました。夜はまだ明けたばかりの頃である。 「何か」と、帳を払って出ると、 「城中より侯成という大将が降を乞うて出で、丞相に謁を賜りたいと陣門にひかえております」  と、侍者は...

臣道の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
張飛

張飛(ちょうひ)とは、『三国志』に登場する中国後漢末期から三国時代初期の武将です。主に劉備(りゅうび)の義兄弟として知られ、関羽(かんう)とともに「桃園の誓い」に参加した三人のひとりです。 生涯  張飛は涿県(たくけん)の出身で...

三国志 人名
7ヶ月 ago
建艦総力

一  魏ではこのところ、ふたりの重臣を相次いで失った。大司馬曹仁と謀士賈詡の病死である。いずれも大きな国家的損失であった。 「呉が蜀と同盟を結びました」  折も折、侍中辛毘からこう聞かされたとき、皇帝曹丕は、 「まちがい...

出師の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
十面埋伏

一  袁紹はわずか八百騎ほどの味方に守られて、辛くも黎陽まで逃げのびてきたが、味方の聯絡はズタズタに断ち切られてしまい、これから西すべきか東すべきか、その方途にさえ迷ってしまった。  黎山の麓に寝た夜の明け方ごろである。  ...

孔明の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
酔計二花

一  周瑜は、呉の先主、孫策と同じ年であった。  また彼の妻は、策の妃の妹であるから、現在の呉主孫権と周瑜とのあいだは、義兄弟に当るわけである。  彼は、盧江の生れで、字を公瑾といい、孫策に知られてその将となるや、わずか二十...

本文 三国志 赤壁の巻
7ヶ月 ago
両虎競食の計

一  楊奉の部下が、 「徐晃が今、自分の幕舎へ、敵方の者をひき入れて何か密談しています」  と、彼の耳へ密告した。  楊奉は、たちまち疑って、 「引っ捕えて糺せ」と、数十騎を向けて、徐晃の幕舎をつつみかけた。すると、...

本文 草莽の巻 三国志
7ヶ月 ago
小覇王

一  曠の陣頭で、晴々と、太史慈に笑いかえされたので、年少な孫策は、 「よしッ今日こそ、きのうの勝負をつけてみせる」と、馬を躍らしかけた。 「待ちたまえ」と、腹心の程普は、あわてて彼の馬前に立ちふさがりながら、 「口賢い...

本文 草莽の巻 三国志
7ヶ月 ago
競う南風

一  さて。――日も経て。  曹操はようやく父のいる郷土まで行き着いた。  そこは河南の陳留(開封の東南)と呼ぶ地方である。沃土は広く豊饒であった。南方の文化は北部の重厚とちがって進取的であり、人は敏活で機智の眼がするどく働...

群星の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
秘勅を縫う

一  禁苑の禽は啼いても、帝はお笑いにならない。  簾前に花は咲いても、帝のお唇は憂いをとじて語ろうともせぬ。  きょうも終日、帝は、禁中のご座所に、物思わしく暮しておわした。  三名の侍女が夕べの燭を点じて去る。 ...

臣道の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
大権転々

一  西涼(甘粛省・蘭州)の地方におびただしい敗兵が流れこんだ。  郿塢の城から敗走した大軍だった。  董卓の旧臣で、その四大将といわれる李傕、張済、郭汜、樊稠などは、連名して、使者を長安に上せ、 「伏して、赦を乞う」 ...

群星の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
三花一瓶

一  母と子は、仕事の庭に、きょうも他念なく、蓆機に向って、蓆を織っていた。  がたん……  ことん  がたん  水車の回るような単調な音がくり返されていた。  だが、その音にも、きょうはなんとなく活気があり、歓...

本文 桃園の巻 三国志
7ヶ月 ago
老将の功

一  郭淮の進言に面目をとどめた張郃は、この一戦にすべての汚名を払拭せんものと、意気も新たに、五千余騎を従えて、葭萌関に馬を進めた。  この関を守るは、蜀の孟達、霍峻の両大将であった。  張郃軍あらためて攻めきたるの報を得て...

本文 三国志 遠南の巻
7ヶ月 ago
避客牌

一  玄徳が河北にいるという事実は、やがて曹操の耳にも知れてきた。  曹操は、張遼をよんで、 「ちか頃、関羽の容子は、どんなふうか」と、たずねた。張遼は、答えて、 「何か、思い事に沈んでおるらしく、酒もたしなまず、無口に...

臣道の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
この一戦

一  その後、蜀の大軍は、白帝城もあふるるばかり駐屯していたが、あえて発せず、おもむろに英気を練って、ひたすら南方と江北の動静をうかがっていた。  ときに諜報があって、 「呉は魏へ急遽援軍を求めたらしいが、魏はただ呉王の位を...

出師の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago
洛陽落日賦

一  味方の大捷に、曹操をはじめ、十八ヵ国の諸侯は本陣に雲集して、よろこびを動揺めかせていた。  そのうちに、討取った敵の首級何万を検し大坑へ葬った。 「この何万の首のうちに、一つの呂布の首がないのだけは、遺憾だな」  ...

群星の巻 本文 三国志
7ヶ月 ago