張飛
張飛(ちょうひ)とは、『三国志』に登場する中国後漢末期から三国時代初期の武将です。主に劉備(りゅうび)の義兄弟として知られ、関羽(かんう)とともに「桃園の誓い」に参加した三人のひとりです。
生涯
張飛は涿県(たくけん)の出身で、庶民の出であり、劉備や関羽と義兄弟の契りを結びました。劉備の旗揚げから終始その側近として活躍し、斬新な戦術や豪胆な武勇で数多くの戦場を駆け抜けました。趙雲(ちょううん)や関羽と並んで劉備軍随一の猛将とされています。晩年、劉備が蜀(しょく)の皇帝となると、張飛は車騎将軍に任じられますが、部下に恨まれたことが原因で暗殺され、その生涯を閉じました。人物
張飛は大男で髭が濃く、雷のような大声と恐ろしい気迫の持ち主です。戦場では獅子奮迅の活躍を見せ、勇猛さで敵を震え上がらせました。一方で短気で酒癖が悪い描写や、部下に厳しすぎる側面もあったとされます。ただし、芸術的な側面もあり、書道に優れていたと伝わります。妻子や血縁
張飛の娘が後に蜀の皇帝・劉禅(りゅうぜん)の皇后となっています。歴史書では張苞(ちょうほう)という息子の存在も記されています。関連する人物
劉備:主君にして義兄弟。
関羽:義兄弟で、三人の中では中間の兄。
劉禅:娘婿。
張苞:息子、蜀の武将。有名なエピソード
張飛の大声と気迫で長坂橋に立ちふさがり、曹操軍を足止めした「長坂橋の張飛」は三国志演義・吉川英治版でも屈指の名場面です。また、厳しい性格が原因で部下に寝込みを襲われ非業の死を遂げた最期も物語の悲劇性を際立たせます。吉川英治の三国志と史実で違う点
史実では張飛の残忍な面や粗暴さがより強調されることが多いですが、小説版では義に厚く、勇ましい「豪傑」としての魅力が前面に描かれています。