一 楊奉の部下が、 「徐晃が今、自分の幕舎へ、敵方の者をひき入れて何か密談しています」 と、彼の耳へ密告した。 楊奉は、たちまち疑って、 「引っ捕えて糺せ」と、数十騎を向けて、徐晃の幕舎をつつみかけた。すると、...
一 禁苑の禽は啼いても、帝はお笑いにならない。 簾前に花は咲いても、帝のお唇は憂いをとじて語ろうともせぬ。 きょうも終日、帝は、禁中のご座所に、物思わしく暮しておわした。 三名の侍女が夕べの燭を点じて去る。 ...
一 冀北の強国、袁紹が亡びてから今年九年目、人文すべて革まったが、秋去れば冬、冬去れば春、四季の風物だけは変らなかった。 そして今し、建安十五年の春。 鄴城(河北省)の銅雀台は、足かけ八年にわたる大工事の落成を告げてい...
黄河(こうが)とはは三国志に深く関係する地理用語で、中国の重要な大河のひとつです。 【黄河(こうが)について】 ・その土地の歴史 黄河は中国北部を東西に貫く大河で、中国文明発祥の地の一つとされています。「中国の母なる川」とも...
一 父の矢創も日ましに癒えてゆく様子なので、一時はしおれていた関平も、 「もう心配はない。この上は一転して、攻勢に出で、魏の慢心を挫ぎ、わが実力の程を見せてくれねばならん」と、帷幕の人々と額をあつめて作戦をねっていた。 ...
一 都へ還る大軍が、下邳城を立ち出で、徐州へかえると、沿道の民は、ちまたに溢れて、曹操以下の将士へ、歓呼を送った。 その中から、一群れの老民が道に拝跪しながら進みでて、曹操の馬前に懇願した。 「どうか、劉玄徳様を、太守と...