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New Word孫権立つ
一 「あっ、何だろう?」 宿直の人々は、びっくりした。真夜半である。燭が白々と、もう四更に近い頃。 寝殿の帳裡ふかく、突然、孫策の声らしく、つづけさまに絶叫がもれた。すさまじい物音もする。 「何事?」と、典医や武士も...
絶妙好辞
一 思いがけぬ孔明の言葉に、老将黄忠の忿懣はやるかたなく、色をなして孔明に迫るのだった。 「昔、廉頗は年八十に及んで、なお米一斗、肉十斤を食い、天下の諸侯、これをおそれ、あえて趙の国境を犯さなかったといいます。まして私は、未だ...
神卜
一 太史丞の許芝は、曹操の籠る病室へ召された。 曹操は、起きていたが、以来、何となくすぐれない容態である。 「許都に、卜の上手がいたな。どうも今度の病気はちとおかしい。ひとつ卜者に見てもらおうと思うのだが」 「大王、...
白門楼始末
一 曹操は、侍者に起されて、暁の寒い眠りをさました。夜はまだ明けたばかりの頃である。 「何か」と、帳を払って出ると、 「城中より侯成という大将が降を乞うて出で、丞相に謁を賜りたいと陣門にひかえております」 と、侍者は...
十面埋伏
一 袁紹はわずか八百騎ほどの味方に守られて、辛くも黎陽まで逃げのびてきたが、味方の聯絡はズタズタに断ち切られてしまい、これから西すべきか東すべきか、その方途にさえ迷ってしまった。 黎山の麓に寝た夜の明け方ごろである。 ...
避客牌
一 玄徳が河北にいるという事実は、やがて曹操の耳にも知れてきた。 曹操は、張遼をよんで、 「ちか頃、関羽の容子は、どんなふうか」と、たずねた。張遼は、答えて、 「何か、思い事に沈んでおるらしく、酒もたしなまず、無口に...
文武競春
一 冀北の強国、袁紹が亡びてから今年九年目、人文すべて革まったが、秋去れば冬、冬去れば春、四季の風物だけは変らなかった。 そして今し、建安十五年の春。 鄴城(河北省)の銅雀台は、足かけ八年にわたる大工事の落成を告げてい...
秋雨の頃
一 諸州の浪人の間で、 「近ごろ兗州の曹操は、頻りと賢を招き、士を募って、有能の士には好遇を与えるというじゃないか」と、もっぱら評判であった。 聞きつたえて、兗州(山東省西南部)へ志してゆく勇士や学者が多かった。 ...