一 昼は人目につく。 董承は或る夜ひそかに、密詔をふところに秘めて頭巾に面をかくして、 「風雅の友が秦代の名硯を手に入れたので、詩会を催すというから、こよいは一人で行ってくる」 と、家人にさえ打明けず、ただ一人驢に...
一 張飛は、不平でたまらなかった。――呂布が帰るに際して、玄徳が自身、城門外まで送りに出た姿を見かけたので、なおさらのこと、 「ごていねいにも程がある」と、業腹が煮えてきたのであった。 「家兄。お人よしも、度が過ぎると、馬...