ウル
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予の陣中に留まって、弟と共に勲しを立て、将来、大いに家名をあげたらどうだ」 。「古語にいう。――主貴ケレバ臣栄エ、主憂ウル時ハ臣辱メラルと。弟には弟の主君あり、私には私の主君がありますから」 。 辛評は空しく帰った。
故ニ、呉ノ勢ミナ魏城ヲ軽ンズ。戦ワズシテタダ守ラバ、イヨイヨ彼等ヲ誇ラスノミ。マタ、出テ十万ノ寄手ト野戦ヲ構ウルハナオ拙ナリ。即チ、敵近ヅカバ、ソノ序戦ニ於テ、彼等ノ鋭気ヲ一撃シテ挫キ、味方諸人ノ心ヲマズ安泰ニ固メ置キテ後、固ク城ヲ閉ジ、防備第一トシテ、必ズ出テ戦ウ勿レ。おわかりか。
「おお、蒋琬か、君のごとき人物がそんな事を予に質問するのこそ心得ぬ。孫子もいった。――勝チヲ天下ニ制スルモノハ法ヲ用ウルコト明ラカナルニ依ル――と。四海わかれ争い、人と人との道みな紊るとき、法をすて、何をか世を正し得べき……ふかく思い給え、ふかく」 。「でも、馬謖は惜しい、実に惜しいものだ。