ニアリ
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玄徳は馬をおりて、 。「先生、おことばは謝しますが、憂いはおやめ下さい。――死生命アリ、富貴天ニアリ――何の馬一匹が私の生涯をさまたげ得ましょう」 。 と、手を取って笑い、爽やかに別れを告げて、ふたたび新野の道へ向った。三。
君ト予トハ元ヨリ仇デハナク、君ノ厳父ハ、予ノ先輩デアリ、長ジテハ、君ト知ッテ、史ヲ語リ、兵ヲ談ジ、天下ノ為、大イニ成スアランコトヲ、誓イアッタ友ダッタ。端ナクモ、過グル頃ヨリ敵味方トワカレ、矢石ノアイダニ別ルルモ、旧情ハ一日トテ、忘レタコトハナイ。イマ幸イニ、和議成ッテ、予ナオ数日、渭水ノ陣ニアリ。乞ウ、一日、旧友韓遂トシテ来リ給エ。「ああ、彼も、忘れずにいるか」 。
その三には、。觳觫トシテ脚ヲ長ウシ、糸ヲ吐イテ網ヲナス。羅ヲ求メテ食ヲ尋ネ、利ハ昏夜ニアリ。コレ、蜘蛛ナリ。 一つもはずれていないのでした。
と、慟哭のあまり、昏絶して、以来三日のあいだ、食もとらず、臣下にも会わなかった。――が、孔明だけは、強いて帳内に入ることを乞い、まるで婦人のように悲嘆してのみいる玄徳を仰いで叱るが如く諫めた。「死生命アリ富貴天ニアリ。桃園の誓いも約束なら、人の死や別離も当然な約束事ではありませんか。もしわが君までお体をそこねたら何といたしますか」 。
この日、魏が失った損害というものは、物的にも精神的にも、開戦以来、最大なものといえる程だった。――しかし、この戦果を見てもなお、蜀軍のうちには、ただ一人、 。「――事ヲ謀ルハ人ニアリ。事ヲ成スハ天ニアリ、ついに長蛇を逸せり矣。ああ、ぜひもない哉」 。