祁山の野
――ご辺が遺孤を守る忠節は、これを諒とし、これを賞めるに吝かでないが、依然、武力を行使し、侵略を事とし、魏を攻めんなどとする志を持つに至っては、まさに、救うべからざる好乱の賊子、蜀の粟を喰って蜀を亡ぼす者でなくてなんぞ。――それ古人もいっている。天ニ従ウ者ハ昌ニシテ、天ニ逆ラウ者ハ亡ブ――と。今わが大魏は、雄士百万、大将千員、むかうところの者は、たちまち泰山をもって鶏卵を圧すようなものである。量るに、汝らは腐草の蛍火、明滅みな実なし、いかでわが皎々たる天上の月照に及ばんや」と、ほとんど息をつ...
五丈原の巻
本文
三国志