北客
「自分のほうがはるかに人間は上である」と、充分自信はもっているが、単にそれだけを強味として相手を鵜呑みにしてしまうわけにもゆかなかった。 袁一門の閥族中には、淮南の袁術のような者もいるし、大国だけに賢士を養い、計謀の器、智勇の良臣も少なくない。 それに、何といっても彼は名家の顕門で、いわば国の元老にも擬せられる家柄であるが、曹操は一宮内官の子で、しかもその父は早くから郷土に退き、その子曹操は少年から村の不良児といわれていた者にすぎない。 袁紹が洛陽の都にあって、軍官の府に重きをなしていた頃、...
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草莽の巻
三国志