国富
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で、韓嵩はまた云い足した。「なぜならば、曹操は天子を擁し、その戦は、常に大義を振りかざすことができます」 。「しかし袁紹の雄大な国富と勢力も侮れんが」 。「ですから、曹操が敗れて、自ら破綻を生じ、いまの位置から失脚でもすれば、そこに必然彼に取ってかわる機会もあるというものではありませんか」 。 劉表はなお決しかねていたが、翌る日、また韓嵩をよび出して云いつけた。
「蜀の国情や地理は、老人のはなしとか、書物とかで知るのみで、直接蜀の人から伺ったことがない。ねがわくは、ご本国の概要を聞かせ給え」 。「されば、蜀はわが大陸の西部に位し、路に錦江の嶮をひかえ、地勢は剣閣の万峰に囲まれ、周囲二百八程、縦横三万余里、鶏鳴狗吠白日も聞え、市井点綴、土はよく肥え、地は茂り、水旱の心配は少なく、国富み、民栄え、家に管絃あり、社交に和楽あり、人情は密に、文をこのみ、武を尚び、百年乱を知らずという国がらです」 。「おはなしを承っただけでも、一度遊びに行ってみたくなりま...