天理
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皇甫酈は、まったく、帝のお頼みをうけて、和睦の勧告に来たのだったが、失敗に終ったのでそこから西涼へ落ちてしまった。 だが、途々、「大逆無道の李傕は、今に天子をも殺しかねない人非人だ。あんな天理に反いた畜生は、必ずよい死に方はしないだろう」 。 と、云いふらした。 ひそかに、帝に近づいていた賈詡も、暗に、世間の悪評を裏書きするようなことを、兵の間にささやいて、李傕の兵力を、内部から切りくずしていた。
まさに魏が漢に代るべき兆です。司天台の暦官たちもみなさように申しておりまする」と、暦数から迫ってみたり、ある時はなお、 。「むかし三皇、五帝も、徳をもって御位を譲り、徳なきは徳あるに譲るを常とし、たとえ天理に伏さずとも、必ず自ら滅ぶか、或いは次代の帝たる勢力に追われておりましょう。漢朝すでに四百年、決して、陛下の御不徳にも非ず、自然にその時期に際会されておられるのです。ふかく聖慮をそこに用いられて、あえて迷いをとったり、求めて、禍いを招いたり遊ばさぬようご注意申しあげる」 。
また秦漢の政体や国々の制が立って以来の転変を。――歴史は窮まりなくくり返してゆくらしい。――万生万殺――一殺多生――いずれも天理の常でしょう。自然の天心からこれを観れば、青々と生じ、翻々と落葉する――それを見るのとなんの変りもない平凡事にすぎますまい」 。「われわれは凡俗です。
龐統は一笑に附していう。「火事場の中で、日頃の礼法をしていたら、寸歩もあるけますまい。あなたのおことばは天理人倫にかなっていますが、世はいま乱国、いわば火事場です。晦きを攻め、弱きを併せ、乱るるは鎮め、逆は取って順に従わす、これ兵家の任です。また民の安息を守るものです。