美丈夫姜維
さはいえまだ紅顔の美少年といってもいい若武者、いかにその天質が人よりすぐれて武技兵法に通達する者にせよ、一城一郡の興廃を、かかる弱冠の者の一言に託すのは無謀であるという意見も、一族や侍臣のうちにないこともなかったが、馬遵はふかく姜維に感じていたので、 。「もし姜維の観察がまちがっていたところで、それが間違いなら何も味方にも損失はないことだ。ともあれ彼の献策を用いてみよう」と、ふたたび触れ出して、その日の午過ぎから出陣を開始し、南安城の後詰に行くと称えて、城外約三、四十里まで進んだ。一方、孔...
五丈原の巻
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三国志