七軍魚鼈となる
この日関平が上流の一川の堰を切ったため、白河と襄江のふたつが一時に岸へ搏ってきたのだった。罾口川の魏軍は、ほとんど水に侵され、兵馬の大半は押し流され、陣々の営舎は一夜のうち跡形もなくなってしまった。 関羽は夜どおし洪水の中を漕ぎ廻り、多くの敵を水中から助けて降人の群れに加えていたが、やがて朝の光に一方の山鼻を見ると、そこにまだ魏の旗がひるがえって、約五百余の敵が一陣になっている。「おう、あれにおるは、魏の龐徳、董起、成何などの諸将と見ゆるぞ。好い敵が一つ所におる。
本文
三国志
遠南の巻