玄徳冀州へ奔る
かくて、仕掛けた奇襲は、反対に受け身の不意討ちと化した。隊伍は紛裂し、士気はととのわず、思い思いの敵と駈けあわすうち、敵の東のほうからは張遼の一陣、西のほうからは許褚、南からは于禁、北からは李典。また東南よりは徐晃の騎馬隊、西南よりは楽進の弩弓隊、東北よりは夏侯惇の舞刀隊、西北よりは夏侯淵の飛槍隊など、八面鉄桶の象をなしてその勢無慮十数万――その何十分の一にも足らない張飛、玄徳の小勢をまったく包囲して、 。「一匹も余すな」と、ばかり押しつめてきた。 さしもの張飛も鐙に無念を踏んで、 。
臣道の巻
本文
三国志