改元
献帝はまだ御齢三十九歳であった。九歳の時董卓に擁立されて、万乗の御位について以来、戦火乱箭の中に幾たびか遷都し、荊棘の道に飢えをすら味わい、やがて許昌に都して、ようやく後漢の朝廟に無事の日は来ても、曹操の専横はやまず、魏臣の無礼、朝臣の逼塞、朝はあってなきが如きものだった。 およそ天の恵福の薄かったことは、東漢の歴代中でも、この献帝ほどの方は少ないであろう。そのご生涯は数奇にして薄幸そのものであったというほかはない。 しかも今また、魏の臣下から、臣下としてとうてい口にもすべきでないことを強...
出師の巻
本文
三国志