桂陽
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――それを強味に、それを根本に持って、あなたは南の四郡を伐り取ったがよろしいかと思われます」 。「その四郡の現状は」 。「――武陵には太守金旋があり、長沙には韓玄、桂陽には趙範、零陵には劉度などが、おのおの地盤を占めております。この地方は総じて、魚米の運輸よろしく、地も中原に似て、肥沃です。もって長久を計るに足りましょう」 。
このところ髀肉の嘆にたえないのは張飛であった。常に錦甲を身に飾って、玄徳や孔明のそばに立ち、お行儀のよい並び大名としているには適しない彼であった。「趙雲すら桂陽城を奪って、すでに一功を立てたのに、先輩たるそれがしに、欠伸をさせておく法はありますまい」 。 と、変に孔明へからんで、次の武陵城攻略には、ぜひ自分を――と暗に望んだ。「しかし、もしご辺に、不覚があった場合は」 。
さりとて荊州は還し難し、軍師の悲嘆は黙し難し。……そうだ、ではこうしてつかわす。荊州のうち長沙、零陵、桂陽の三郡だけを呉へ還してくれる。それなら呉の面目も立ち、瑾の妻子も助けられよう」 。「かたじけのう存じます」と孔明は拝謝し、また感激して、 。