蜀人・張松
「先ごろ来、西涼の馬超が破れたことから、領内混乱に陥り、西涼州の百姓たちの逃散して、漢中に移り来るもの、すでに数万戸にのぼると聞く。――加うるに、従来、漢川の民、戸数十万に余り、財ゆたかに糧はみち足り、四山谿流、道は嶮岨にして、一夫これを守れば万卒も通るを得ず、と古来からいわれておる。もしこれに蜀を加えて、統治を施し、よく武甲と仁政を以て固め、上に帝王を定むるならば、これこそ千年の基業を開くことができるに相違ない。――家兄、願わくは不肖張衛に、入蜀の兵馬を授けたまえ。誓って、この大理想を顕現...
本文
望蜀の巻
三国志