銀河の祷り
すると、姿を変えて探りに行った将は、ようやく四更の頃、彼の前にもどって来て、額の汗を押し拭いながら復命した。「蜀陣の旌旗は依然、粛として寸毫の惰気も見えませぬ。また、深夜というのに、孔明は素輿(白木の輿)に乗って陣中を見まわり、常のごとく、黄巾をいただき白羽扇を持ち、その出入を見るや、衆軍みな敬して、進止軍礼、一糸のみだれも見ることができません、……実に、驚きました。森厳そのものの如き軍中の規律です。近頃、孔明が病気であるというような噂が行われておりますが、おそらくあれも敵がわざといわせて...
五丈原の巻
本文
三国志