鈴音
「それがし龍湫の渡口を警備しておりますと、上流江夏のほうから、一艘の舟がただよい来って、二十名ほどの江賊が、岸へ上がって参りました」 。 呂蒙はまず、こう順を追って、次のように話したのである。「――すぐ取囲んで、何者ぞと、取糺しましたところ、頭目らしき真っ先の男がいうには――自分ことは、黄祖の手下で、甘寧字を興覇とよぶ者であるが、もと巴郡の臨江に育ち、若年から腕だてを好み、世間のあぶれ者を集めては、その餓鬼大将となって、喧嘩を誇り、伊達を競い、常に強弓、鉞を抱え、鎧を重ね、腰には大剣と鈴を...
本文
三国志
赤壁の巻