臨淄
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改元の年に、大吉瑞だと騒いで、県民の代表がお祝いにきました」 。 侍者が、こう取次いで曹丕をよろこばせたと思うと、幾日か経って、 。「臨淄に麒麟があらわれた由で、市民は檻に麒麟を入れて城門へ献上したそうです」 。 するとまた、秋の末頃、鄴郡の一地方に、黄龍が出現したと、誰からともなく云い伝えられ、ある者は見たといい、ある者は見ないといい、やかましい取り沙汰だった。 おかしいことには、その噂と同時に、魏の譜代の面々が、日々、閣内に集まって、 。
曹丕が甚だしく怒った理由というのはこうであった。 以下、すなわち令旨をたずさえて、曹植のところから帰ってきた使者の談話である。「――私が伺いました日も、うわさに違わず、臨淄侯曹植様には、丁儀、丁廙などという寵臣を侍らせて、前の夜からご酒宴のようでした。それはまアよいとしても、かりそめにも御兄上魏王の令旨をもたらして参った使者と聞いたら、口を含嗽し、席を清めて、謹んでお迎えあるべきに、座もうごかず、杯盤の間へ私を通し、あまつさえ臣下の丁儀が頭から使者たる手前に向って……汝、みだりに舌を動かす...