蛍の彷徨い
宦官と見た者は、見つかり次第に殺された。宮中深く棲んでいた十常侍の輩なので、兵はどれが誰だかよく分らないが、髯のない男だの、俳優のようににやけて美装している内官は、みんなそれと見なして首を刎ねたり突き殺したりした。 十常侍趙忠や郭勝などという連中も、西宮翠花門まで逃げ転んできたが、鉄弓に射止められて、虫の息で這っているところを、ずたずたに斬りきざまれ、手足は翠花楼の大屋根にいる鴉へ投げられ、首は西苑の湖中へ跳ねとばされた。 天日も晦く、地は燃ゆる。 女人たちの棲む後宮の悲鳴は、雲にこだまし...
本文
桃園の巻
三国志