隆中
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「隆中」登場回数
合計: 23回「隆中」が登場する場面
7件孔明を訪う
ああ惜しいことをした。もし徐庶が行きさえしなければ、老母も無事だったろうに、徐庶が行っては、老母もかならず生きておるまい」 。「実は、その徐庶が、暇を乞うて去る折に、隆中の諸葛孔明なる人物をすすめて行きましたが、何分、途上の別れぎわに、詳さなことも訊くいとまがありませんでしたが……先生には、よくご存じでしょうか」 。「は、は、は」と、司馬徽は笑いだして―― 。「己れは他国へ去るくせに、無用な言葉を吐いて、他人に迷惑をのこして行かなくてもよさそうなものじゃ。
孔明・風を祈る
その変調を後世の天文学語で貿易風という。 ところが、今年に限って、まだその貿易風がやってこない。孔明は長らく隆中に住んでいたので年々つぶさに気象に細心な注意を払っていた。一年といえどもまだそれのなかった年はなかった。――で、どうしても今年もやがて間近にその現象があるものと確信していたのである。
母子草
――曹操は一言、 。「よし」と、云ったきりであった。 また彼は、多くの武士を隆中に派して、孔明の妻や弟などの身寄りを詮議させていた。 曹操が孔明を憎むことはひと通りでなかった。「草の根を分けても、彼の三族を捕えてこい」 。
狂瀾
いまは帰らずとも、孔明は必ず東南の風の吹き起る日には帰ります」 。「先生、どうして今から、東南の風の吹く日が分りますか」 。「十年、隆中の岡に住んでいた間は、毎年のように、春去り、夏を迎え、秋を送り、冬を待ち、長江の水と空ゆく雲をながめ、朝夕の風を測って暮していたようなものですから、それくらいな観測は、ほぼはずれない程度の予見はつきます。――おお、人目にふれないうちに、君には、お急ぎあって」 。 と、孔明は、主君を船へせきたてると、自分も忽然と、呉の陣営のうちに、姿をかくしてしまった。
祁山の野
「むかし、襄陽の名士、みなご辺の名を口にいう。ご辺はもとより道を知る人、また天命の何たるかも知り、時の人の務めも所存あるはずだ。然るに、隆中に鍬を持ち読み齧れる白面の一書生が、多少、時流に乗ずるや、たちまち、雲を得たるかの如く、かく無名の師をおこすとは何事ぞ」 。「たれか無名の師という。われは勅をうけて、世の逆を討つ。
立つ鳥の声
すると徐庶は、そこへ近づいてくるやいな、玄徳の鞍わきへ寄って、早口にこう告げた。「夜来、心みだれて麻のごとく、つい、大事な一言をお告げしておくことを忘れました。――彼方、襄陽の街を西へへだつこと二十里、隆中という一村落があります。そこに一人の大賢人がいます。――君よ。
美丈夫姜維
すると孔明は、すぐ車をおりて、姜維の手をとり、姜維の母の側へつれて来た。そして母子を前にして彼は云った。「自分が隆中の草廬を出てからというもの、久しい間、つねに天下の賢才を心のうちでさがしていた。それはいささか悟り得た我が兵法のすべてを、誰かに伝えておきたいと思う希いの上からであった。――しかるにいま御身に会い、孔明の日頃の願いが足りたような気がされる。