大号令
孔明は、兄の唐突な質問をあやしむと同時に、さてはと、心にうなずいていた。 瑾は、熱情をこめて、弟に訓えた。「伯夷と叔斉の兄弟は、たがいに位を譲って国をのがれ、後、周の武王を諫めて用いられないと、首陽山にかくれて、生涯周の粟を喰わなかった。そして餓死してしまったが、名はいまに至るまでのこっている。思うに、おまえと私とは、骨肉の兄弟でありながら、幼少早くも郷土とわかれ、生い長じてはべつべつな主君に仕え、年久しく会いもせず、たまたま、相見たと思えば、公の使節たり、また一方の臣下たる立場から、親し...
本文
三国志
赤壁の巻