琅玕
琅玕(ろうかん)とはは主に宝石や美しい玉を指す古い言葉です。現代日本語ではあまり馴染みがありませんが、琅玕は翡翠(ひすい)や高価な美玉を表現する際に用いられてきました。特に古代中国においては、宝玉は高貴なもの、美しさ、気高さの象徴とされ、宮殿や装飾品にしばしば用いられています。
吉川英治『三国志』の中でも、琅玕は物語の中で優雅さや格式高い雰囲気を演出するために使われることがあります。たとえば、重要な人物の衣装や装身具、あるいは王族や英雄たちの居室の装飾に琅玕が用いられている描写が出てくるかもしれません。このような言葉に出会ったとき、小説の背景には、三国時代の煌びやかな宮廷や、英雄たちが集う晩餐のきらめきを感じてみるのも、読書の新たな楽しみ方です。
三国志の時代背景を考えると、琅玕を持つこと自体が、身分の高さや豪奢な生活を象徴し、また時にはその石を巡る駆け引きや事件のきっかけともなり得ます。作中で琅玕がどう登場するかを意識して読むことで、登場人物がどういう立場や心境にあるのか、物の流れが社会や権力構造にどう影響しているのかまで想像できるかもしれません。
これから『三国志』を読み進める中で、「琅玕」という言葉が登場したときには、単なる宝石以上の、当時の華やかさや人々の欲望、物語の奥行きを意識してみると、更なる面白味が感じられるはずです。