邸閣
冒頭
邸閣(ていかく)とは、官や軍が物資を保管したり、人員を宿泊させたりするために設けた、倉庫・宿舎機能をもつ施設です。吉川英治『三国志』では、要塞の内部で兵糧を集積する場所として用いられています。張英が牛渚の要塞に籠もった際、「邸閣とよぶ所に兵糧を蓄えて」孫策軍を待ち構えたと記されます 。
概要
字義的には「邸」は邸宅・宿所、「閣」は楼閣・建物を指し、あわせて一定の公的用途を持つ建造物群をいう語として働きます。軍事上は、糧秣・武器などの集積と配分が勝敗を左右するため、要害の城砦に付属する兵糧庫・倉庫区画を指して「邸閣」と呼ぶ用法が生じます 。
意味
運用面では、租税や徴発で集めた穀物・布帛・兵器を一括管理し、必要に応じて前線や駐屯部隊へ払い出す拠点を意味します。また、官の出先施設として来客・使者の滞在に供する宿舎機能を伴う場合もあり、地域支配と軍政を支える「後方基盤」の一つでした。
関連人物
史実との違い
吉川三国志では要塞内の兵糧集積所としての意味が前面に出ますが、史実上の「邸閣」は地域・時代により官の倉庫と宿駅的施設を含む広い概念として用いられることがあります。