鬨の声
鬨の声(ときのこえ)とは
鬨の声とは、戦場において軍勢が一斉にあげる掛け声や叫び声を指す言葉である。敵を威圧し、自軍の士気を鼓舞するために発せられた。日本語でも「鬨を作る」「鬨の声を上げる」といった表現で使われる。
歴史的背景
そして、用意の物に、一斉に火を点じると、 。「わあっ」 。 と、鬨の声をあげて、炎の波のように、攻めこんだ。 かねて、兵一名に、十把ずつの松明を負わせ、それに火をつけて、なだれこんだのである。 寝ごみを衝かれ、不意を襲われて、右往左往、あわて廻る敵陣の中へ、投げ松明の光は、花火のように舞い飛んだ。
そしてひと頃の張り切っていた壮志のゆるみをどうしようもなかった。彼は、女々しく郷里の母を想い出し、また、思うともなくい鴻芙蓉の麗しい眉や眼などを、人知れず胸の奥所に描いたりして、なんとなく士気の沮喪した軍旅の虚無と不平をなぐさめていた。 すると、突然、山崩れでもしたように、一方の山岳で、鬨の声が聞えた。七。「何事か」 。
――わあっ。わあっ。 と、烈風も圧するような鬨の声がきこえた。寄手は皆地へ伏し、眼をふさぎ、耳を忘れていたが、その声に振り仰ぐと、山峡の絶巓はいくらか平盤な地になっているとみえて、そこに賊の一群が見え「地公将軍」と書いた旗や、八卦の文を印した黄色の幟、幡など立て並べて、 。「死神につかれた軍が、またも黄泉へ急いで来つるぞ。
何ほどのこともないぞ」 。 と、甘く見た華雄軍は、その擁する洛陽の精兵を挙げて、孫堅の一陣を踏みちらし、勢いに乗って汜水関の守りを出たものであった。そしてすでに数十里を風が木の葉を捲くごとく殺到し、鼓は雲にひびき、鬨の声は、山川をゆるがし、早くも、ここ革新軍の首脳部たる本陣の間近まで迫って来たらしくある。「味方の二陣は、ついに、突破されました」 。「三陣も。
鹿を追うこと急にして、彼ほどな男も、足もとに気づかなかった。 突如として。 四方の谷間や断崖から、鬨の声が起ったのだ。「伏せ勢。」 。
「清水が湧いている……」 。 馬を降りて、彼は清水へ顔を寄せた。そして、がぶとひと口飲み干したと思うと、またすぐ近くの森林から執念ぶかい敵の鬨の声が聞えた。「……やっ。」 。
そのうちに、きっと……」 。 云いかけた時、幽室の外を、どやどやと兵の馳ける跫音が流れて行った。そして城内一度に、何事か、わあっと鬨の声に揺れかえった。六。 折も折である。