九錫
冒頭
九錫(きゅうしゃく)とは、皇帝が功臣に与える九種の特別な賜与で、臣下としての栄誉を極めたことを示す礼制です。曹操が「魏公」となり九錫の儀仗に護られる身となった経緯が述べられます 。
概要
九錫は、本来は天子の権威に由来する儀礼的・象徴的な下賜であり、受ける側の政治的威勢を公認する意味を持ちます。作中では、九錫を受けた後にさらに「魏王」への進位を唱える動きが起こり、それが人心の反発を招きうるとして諫止されます 。
内容
作中で列挙される九錫は、車馬、衣服、楽県、朱戸、納陛、虎賁、鈇鉞、弓矢、秬鬯で、金車や兵車、王者の服、門戸の彩色、殿陛昇降の特権、護衛兵、斧鉞、弓矢、祭祀用の酒などから成ります 。
当時の文脈での使われ方
九錫は単なる褒賞ではなく、受封者が「王者に近い待遇」を帯びる制度装置として作用します。曹操については、重臣の勧めを受けて九錫を求め、これが荀彧の憂慮を招いたことが描かれます 。また曹丕が孫権を呉王に封じ九錫を加えたことは、相手国の威勢を増す措置として魏の臣下に危惧されます 。
関連人物
史実との違い
吉川三国志で示される九錫の位置づけは、史実でも「権臣の権威を公式化する儀礼」として機能した点で大筋に沿いますが、作中では九錫の条目がまとまって提示され、政治的含意が強調されます 。