天子
冒頭
天子(てんし)とは、天の命を受けて天下を治めるとされた君主、すなわち皇帝の称号です。吉川英治『三国志』では主として後漢の皇帝を指し、献帝が「天子の位」に立てられることや、禁門に掲げられる「天子」の威光が軍勢の行動を制する場面など、正統性の根拠として機能します。
概要
天子は個人名ではなく地位・概念であり、臣下や諸侯が「天子を奉戴する」ことは、政治的行為に大義名分を与える枠組みとなります。作中では、董卓が皇帝を廃立して献帝を擁立することで朝廷を掌握し、また献帝が臣下の専横に苦しめられつつも「朕」として詔勅の主体であり続けることが描かれます。
意味
歴史
後漢末には、天子の存在は保たれても実権が失われ、外戚・宦官・軍閥の抗争のなかで廃立・遷都・幽閉が繰り返されます。献帝が董卓に擁立され、李傕・郭汜らの乱で禁中が脅かされる状況、さらに魏への禅譲によって山陽公に封ぜられる経緯は、天子号の重さと現実の乖離を示します。
関連人物
史実との違い