教坊
冒頭
教坊(きょうぼう)とは、宮廷や官府に属して音楽・舞踊などの芸能を担う組織、またはその所属芸人を指す語です。吉川英治『三国志』では、王允の邸で「教坊の楽女たち」が合奏・合唱し、その中の楽女として貂蝉が舞う場面に見えるように、権門の宴席を支える官属の芸能集団として用いられます。
概要
教坊は、儀礼や饗宴に必要な音楽を整えるために、楽人や舞人を統括し、演奏・舞踊の実務を担う制度的枠組みとして理解されます。物語上では、董卓を迎える宴で、簾が上がる合図とともに楽が始まり、教坊の楽手が奏し、楽女が歌舞するという形で、宴席の演出装置として位置づけられています。
意味
語の中心は、楽舞を「教え」、一定の規律で運用する「坊」という発想にあり、単なる私的な芸人集団ではなく、管理・養成・動員を含む機構を示し得ます。作中では「教坊の奏曲」「教坊の楽手」「教坊の妓」といった連接で、演奏者・舞人・歌い手を一体に含む呼称として現れます。
史実との違い