李定
李定(りてい)は、吉川英治の三国志に登場する人物です。彼の通称は「羊仙(ようせん)」とも呼ばれています。その正体は、山羊を連れて各地を放浪し酒に酔う、どこか市井の仙人のような風貌の老人です。魯のつまり魯国の出身で、故郷にはとどまらず、世間を飄々とさすらっています。
彼は物語の中で桑の大木を見て「この家から必ず貴人が生れる」などと予言をします。易者としての不思議な存在感をもち、地元では「羊仙」とあだ名され、時に霊験あらたかな人物として扱われました。村人からは仙人と見なされることもあり、自らそのような評判を「迷惑なはなし」としつつも、その卓越した観察眼や予言で周囲に印象を残しています。エピソードとして、少年の誕生日を祝うようにと山羊を家族に贈る心優しい面も描写されました。
この人物は三国志の歴史上実在する人物ではなく、吉川英治版三国志の独特の味わいとして加えられた創作上のキャラクターです。彼の不思議な空気や人情味あふれる描写が、物語に詩的なアクセントを添えています。
「李定」の基本情報
総登場回数
1回
活動期間
1巻にわたって登場
初回登場
桃園の巻
最終登場
桃園の巻
最も活躍した巻
桃園の巻
(1回登場)