松明
冒頭
松明(たいまつ)とは、主に松などの木材や樹脂分を燃やして作る携帯用の火で、夜間行動の照明、合図、戦闘時の火攻めなどに用いられる道具です。
概要
吉川英治『三国志』では、闇夜の軍事行動における基本装備として現れ、集団の移動や警戒のために多数の松明を連ねて用いる例が見られます。たとえば夜戦で寄せ手が「明々の松明をつらね」て陣前に圧力をかける場面があり、夜間の兵力誇示や挑発の手段として機能しています。
意味
松明は単なる灯火にとどまらず、燃焼体そのものとして攻撃に転用できる点に特色があります。兵が一人で複数本を携行し、突入と同時に点火して投擲することで、草地や兵舎、軍衣へ延焼させ、敵陣を混乱させる火攻めの具として用いられます。
用法
松明の運用には大別して三種が確認できます。第一に夜襲・火攻めでの投擲で、敵陣内へ「投げ松明」を浴びせて火災と混乱を誘発します。 第二に城内・市街戦での罠や包囲の一部としてで、突入してきた軍に対し、隠れ場所から無数の松明を掲げ、直後に投げ松明を降らせて退却を余儀なくさせる例があります。 第三に通信・合図としてで、密書の到着を「松明を振って」知らせる火合図など、視認性を利用した連絡手段として描かれます。
関連人物
松明は夜襲の実行や防衛の局面で、劉備軍が兵に多数を負わせて投げ込む用例があり、夜間奇襲の具体的手段として位置づけられます。 また曹操軍が城内で投げ松明を受けて退却するなど、攻防双方で戦術的要素となっています。
史実との違い
松明の軍事利用自体は当時一般的であり、吉川三国志での扱いと史実・演義の間に大きな相違が生じやすい種類の用語ではありません。