越騎校尉
越騎校尉(えっきこうい)とは
後漢の官職のひとつで、皇帝直属の近衛騎兵を率いる役職。官位としては中位にあたり、武官としての名誉と実戦力を兼ね備えていた。
役割
「越騎」は皇帝の護衛を務める騎兵隊の名で、禁軍(近衛軍)に属する精鋭部隊であった。
越騎校尉はその指揮官であり、都の治安維持や宮中の防衛に従事した。権限は皇帝の直轄軍を預かるという点で大きく、しばしば政治的にも重要な意味を持った。
三国志での文脈
後漢末の混乱期には、越騎校尉の官職にあった人物が董卓に対抗したり、あるいは権力闘争の中で利用された。吉川英治『三国志』では伍俘がこの職にあったとされ、董卓暗殺を試みる場面で「越騎校尉の伍俘」と名乗っている。
意味合い
単なる武官ではなく、「天子直属の臣」であることを強調できる地位であった。そのため、伍俘の「おれは朝廷の臣、越騎校尉の伍俘だ」という言葉は、董卓の私兵ではなく正統な漢朝のために戦っているという正義の宣言になっている。
まとめ
越騎校尉は漢代の近衛騎兵指揮官であり、名誉と権威を伴った官職。三国志においては「皇帝直属の臣下である」という正統性を示す象徴的な肩書きとして使われている。