後漢
後漢(ごかん)とは
後漢とは、中国の歴史上、紀元25年から220年まで存在した王朝で、漢王朝の中でも「後期」に当たる政権です。前の「前漢(紀元前206年〜8年)」に対してこのように呼ばれます。
【歴史と成立】
・創始者:劉秀(りゅうしゅう)
漢の宗室の出で、後に「光武帝(こうぶてい)」となります。彼は新朝(王莽による簒奪王朝)を打ち倒し、洛陽を都として漢王朝を復興しました。これが後漢の始まりです(建武元年=25年)。
・都:洛陽(らくよう)
後漢の首都は、前漢の長安とは異なり洛陽に置かれました。
【政治・社会の特徴】
・儒教を国家の根幹に据え、官僚登用において察挙制(地方官が孝行や才徳のある人物を推薦)を採用。
・前漢後期と同様、外戚や宦官の権力争いが激化し、政争が混乱。
・黄巾の乱(こうきんのらん)(184年)などの大規模な反乱が相次ぎ、社会秩序が崩壊していきました。
【滅亡】
・最後の皇帝は献帝(けんてい)。
・220年、曹操の子である曹丕(そうひ)が献帝から禅譲を受け、魏を建国したことで後漢は名実ともに滅亡しました。
吉川英治の『三国志』は、この後漢末期の混乱(黄巾の乱から献帝の時代)を舞台にしています。登場人物たち(劉備、曹操、孫権など)はすべて後漢の衰退期に登場し、それぞれが後漢の枠を超えて新たな覇権を目指します。