密旨
冒頭
密旨(みっし)とは、表向きの詔勅や命令とは別に、限られた相手にだけ密かに伝える真意・内命を指す語です。吉川英治『三国志』では、朝廷の正式な「勅」を下す一方で、その受命者にだけ「密旨」を添えて具体の行動を促す、といった形で用いられます。
概要
密旨は、国家の公文としての体裁をもつ文書や布告ではなく、政治的意図を悟られないための付帯的な指示として機能します。表向きの命令は大義名分を整えるために用い、密旨は実際の目的達成のために行動内容を絞って伝える、という二層構造が前提になります。
意味
語義としては「密(ひそ)かな旨(むね)」で、命令者の本心、または秘密の指令を意味します。作中では、帝の詔勅(公的な命令)に「密旨」を添えて、受け手に特定の人物の討伐などを命じ、公式命令の形式を保ちながら政治的リスクを分散する手段として現れます。
関連用語
「密詔(みっしょう)」が天子の詔を秘密裏に出した文書そのものを指し得るのに対し、「密旨」は文書に限らず、詔勅に付随する秘命・内意という性格が強い語です。作中でも「勅を下し、あわせて、密旨を添えて」と並記され、両者の役割分担が示されます。
史実との違い