王府
冒頭
王府(おうふ)とは、王や諸侯が居住し政務を執る邸宅兼官庁で、王の「宮廷」とその行政機構を指す語です。
概要
三国志の時代、皇帝の朝廷とは別に、魏王など「王」を称する権力者は、自身の府に属僚を置き、命令の発出、軍政・財政の処理、近衛や門衛による警備などを行いました。作中では「府」単独でも、王の政庁や中枢の役所を含む広い行政空間を表し、許都で「府内」「府外」といって軍の配置や警備線を区別する用法が見られます 。また城内の役所群を「府城、官衙」と並べて述べ、行政都市としての区画を示すこともあります 。
意味
語の中心は「府」で、官庁・政庁、あるいは権力者の邸宅を含む政治的中枢を意味します。したがって「府外」は、権力中枢の外側、すなわち禁門・官衙の外にあたる区域を指し、関羽が「府外へ出よう」とする場面のように、城門警固や通行統制の境界として機能します 。
関連する文脈
「中央の府」は、特定の王府というより中央政府・中枢官庁を指して用いられ、呉が「中央の府に対し、毎年、貢ぎを献じる」という形で、外交関係における上位権力への服属・形式的臣従の相手を表します 。また「府から諸州へ人を派して」とあるように、府は諸州へ布達し献上を命じる発信源ともなります 。
吉川三国志での扱いと史実や演義との違いは、王府を特定の制度名として固定するより、政庁・中枢・城内区画を柔軟に示す語として運用する点にあります。