建寧
建寧(けんねい)とは、中国・後漢時代の元号のひとつです。
建寧は、後漢の第12代皇帝・霊帝(れいてい)の時代の元号で、西暦168年から172年までの期間を指します。霊帝は、宦官政治が横行し、政治の腐敗が極まった時代の皇帝であり、この建寧年間は後漢王朝の衰退期にあたります。
吉川英治『三国志』では、この建寧元年(168年)が物語の冒頭、「黄巾賊」の章で語られる時代背景となっており、張角らによる黄巾の乱の前夜として描かれます。社会不安、飢饉、疫病が重なり、民衆の不満が高まる中、後に三国時代へとつながる大乱の火種が生まれました。
なお、元号「建寧」の「建」は「たてる」、「寧」は「やすらか」の意味で、「安定した治世を築く」という願いが込められていたと推察されますが、実際には混乱の時代の幕開けでした。