戟(げき)とは
長柄に刃を備えた武具の総称で、槍と薙刀の性格を併せ持つ古代中国の代表的な武器。吉川英治三国志では、かな書きで「ほこ」と振られる箇所も多く、戦場での白兵戦を象徴する凶器として活写される。たとえば典韋が両手に戟を携えて矢をはね払い、敵騎を薙ぎ払う場面や、曹操の護衛として奮戦する描写がある 。
 
三国志での描写
戟は一騎討ちや突入戦で威力を発揮する武器として繰り返し登場する。呂布は「画桿の方天戟」を馬上で右に左に振るい、寄せ手をなぎ倒す猛威を見せる 。張飛の丈八蛇矛呂布方天戟が火花を散らす攻防は名場面で、両者が二百余合も戟・矛を交える熱戦として描かれる 。また、呂布が城門内で大戟を振るって混戦を切り開く挿話もあり、重量感と瞬発力を兼ね備えた武器としての存在感が際立つ 。
 
関連する人物とエピソード
呂布の愛用武器としての「方天戟」は象徴的で、装束とともに掲げられてその威容が強調される 。和平の場では、呂布が自らの大戟を地に逆さ突きし、その枝鍔を遠間から射抜いて和議を強要するという、武勇と虚勢が一体化した逸話も語られる 。一方、典韋は両手に戟を構える剛力で知られ、矢の雨をものともせず曹操を守る場面が印象的である 。甘寧が背の戟を手に取り、剣舞と対になる「戟の舞」を披露する宴席の緊張も、戟が儀礼と実戦の両面に跨る武器であることを示している 。さらに、公孫瓚の「秘蔵の戟」が言及されるなど、武勇の証としての性格も与えられている 。
「戟」登場回数
合計: 120回
0 10 20 30 40 3 桃園の巻 40 群星の巻 33 草莽の巻 15 臣道の巻 5 孔明の巻 3 赤壁の巻 4 望蜀の巻 4 図南の巻 9 出師の巻 4 五丈原の巻
最終更新日: 28日前