万戸侯
冒頭
万戸侯(ばんここう)とは、封土の「万戸」すなわち一万戸ぶんの租税・役務などを基盤として与えられる侯爵位で、きわめて大きな恩賞として扱われる爵号です。
概要
「侯」は漢代の爵制における諸侯の位階を指し、国家から封ぜられて一定の領域・戸数を受けることで政治的・経済的基盤を得ます。吉川英治『三国志』では、捕縛・討伐の成功に対する破格の褒賞として提示され、「身分を問わず、万戸侯に封じて、いちやく、諸侯の列に加えて」など、社会的上昇を直截に約束する語として機能します。
意味
万戸は「一万の戸(家・戸籍単位)」の意で、実態としてはその戸数から上がる収入・徴発力を伴う規模を示します。したがって万戸侯は、一般の軍功褒賞を超えて、独立した勢力者に近い待遇を与えることを意味します。
背景と作中での使われ方
作中では、董卓が曹操の生捕り(あるいは首級の献上)に対し万戸侯を条件に掲げ、追捕を全国へ布令する場面が見られます。 また曹操も、馬超を生捕ってきた者を万戸侯に封ずると宣言し、追撃の動機づけを最大化しています。 さらに関門で曹操を捕えた陳宮が、自身の出世として万戸侯を想定するなど、この爵号が「成功すれば身分が跳ね上がる」現実的な目標として共有されていることが示されます。
関連人物
史実との違い
吉川三国志では万戸侯が「身分を問わず」与えるほどの破格の即効性ある褒賞として強調されるが、史実の爵制運用はより複雑で、戸数表現も誇張や象徴的用法を含み得ます。