県尉
冒頭
概要
県尉は県の官署に属し、県内の秩序を保つ実務を担当します。小官ではあるものの、朝廷の命によって任じられた官であるため、任官そのものが公的権威の付与を意味します。作中でも劉備(玄徳)は県尉拝命を「帝命をもって叙せられ」たものとして受け止め、任地へ赴きます。
意味と背景
関連人物
史実との違い
その中に、劉備玄徳の名もあった。 それによって、玄徳は、中山府(河北省・定県)の安喜県の尉という官職についた。 県尉といえば、片田舎の一警察署長といったような官職にすぎなかったが、帝命をもって叙せられたことであるから、それでも玄徳は、ふかく恩を謝して、関羽、張飛を従えて、即座に、任地へ出発した。 もちろん、一官吏となったのであるから、多くの手兵をつれてゆくことは許されないし、必要もないので五百余の手兵は、これを王城の軍府に託して、編入してもらい、ほんの二十人ばかりの者を従者として連れて行っ...
役館の番卒は、「何者だっ」と、中から覗き合っていたが、重棗の如き面に、虎髯を逆だて、怒れる形相に抹硃をそそいだ巨漢が、そこを揺りうごかしているので、 。「誰だ、誰だ。」と、さわぎ立ち、県尉玄徳の部下だと聞くと、督郵の家来たちは、 。「開けてはならぬぞ」と、厳命した。そして人数をかためて、門の内へさらにまた、幾重にも人墻を立ててひしめき合っていた。
あの後、間もなく、下吏の者が寄ってきて、役所の中へ抱え入れ、手当を加えたが、五体の傷は火のように痛むし、大熱を発して、幾刻かは、まるで人事不省であった。 だが、やがて少し落着くと、 。「県尉の玄徳はどうしたっ」 。 と、うわ言みたいに呶鳴った。 その玄徳は、官の印綬を解いて、あなたの首へかけると、捨てぜりふをいって馳け走りましたが、今宵、一族をつれて夜逃げしてしまったという噂です――と側の者が告げると、 。