封禅
冒頭
封禅(ほうぜん)とは、天子が泰山などの名山で天と地に祭祀を行い、天下統治の正当性と太平を奉告する国家的な大典です。「封」は泰山の頂で天に告げて土を封じる儀、「禅」は山の麓で地に報いて祭る儀を指し、両者を合わせて封禅といいます。
概要
封禅は、天命を受けた王者のみが挙げ得るとされ、瑞祥の出現や天下平定などを条件に、帝徳の完成を示す象徴的行為として位置づけられました。名山としては泰山が代表格で、作中でも泰山は地理的要衝・勢力圏の名として頻出し、政治軍事の文脈に組み込まれています 。
意味
封禅の語に含まれる「禅」は、同じ字であっても「禅譲」つまり帝位を譲る「禅(ゆず)る」とは別概念です。作中では「堯舜の例」を引いて帝位を「禅(ゆず)る」ことが語られ、献帝から曹丕への譲位が「受禅台」の造営と儀礼として描かれます 。この「受禅」は王朝交代の手続を正当化するための政治儀礼で、封禅の「禅」とは本来の用法が異なります。
当時の文脈での使われ方
封禅は、実施そのものが権威の誇示になりやすく、瑞祥や天命を掲げた政治宣伝と結びつきやすい性格を持ちます。作中でも吉祥や天命の言説が政権の名分づくりに利用され、受禅を推し進める議論が展開されます 。封禅も同様に、天下支配の完成を内外へ示す装置として理解されます。