献帝

献帝(けんてい)とは
後漢の最後の皇帝、名は劉協(りゅうきょう)。霊帝の子として生まれ、在位は189年から220年まで。形式的には皇帝でありながら、実権を握れず群雄に翻弄された悲劇の君主である。
 
生涯
幼くして父・霊帝を亡くし、最初は「陳留王」と呼ばれていた。霊帝の崩御後、兄の少帝劉弁が即位するが董卓に廃され、代わって劉協が擁立されて献帝となった。
献帝は董卓に利用され、洛陽焼き討ちや長安遷都の混乱を経験する。その後も李傕郭汜董卓残党に翻弄され、宮廷は荒廃。やがて曹操が献帝を保護し、許都に迎えて「挟天子以令諸侯」の形を整える。
献帝自身は実権を持たず、曹操やその後継者の思惑に従うしかなかった。220年、曹丕が禅譲を迫り、献帝は帝位を退いて山陽公とされた。
 
人物
温厚で才気もあったとされるが、幼少で帝位についたため主体的に政治を行う力はなかった。常に権臣に翻弄され続けたことから、無力な存在として語られる一方で、その忍耐と従順さは「時代の犠牲者」としての悲哀を感じさせる。
 
関連する人物
霊帝:父。宦官政治の末期に亡くなった。
・劉弁(少帝):兄。董卓によって廃され殺害された。
董卓:献帝を擁立しながら実権を握った。
曹操:献帝を保護しつつ実質的に権力を掌握した。
曹丕:献帝から帝位を禅譲され、魏の初代皇帝となった。
 
有名なエピソード
・「衣帯詔」:曹操を排除するため、献帝が密かに諸侯へ下したとされる詔勅。
・「禅譲」:魏の曹丕に帝位を譲り、後漢王朝はここで終焉を迎えた。
 
吉川英治三国志での扱われ方
吉川版では、献帝は「傀儡として翻弄される幼帝」として描かれ、その無力さと悲しみが漢王朝の衰亡を象徴する。物語の中で光を放つ英雄ではないが、「大義の看板」として群雄が争う理由づけの中心に置かれている。
「献帝」の基本情報
総登場回数
35回
活動期間
8巻にわたって登場
初回登場
桃園の巻
最終登場
五丈原の巻
最も活躍した巻
群星の巻 (13回登場)
「献帝」登場回数
合計: 35回
0 3 6 9 13 2 桃園の巻 13 群星の巻 6 草莽の巻 2 臣道の巻 0 孔明の巻 0 赤壁の巻 1 望蜀の巻 2 図南の巻 7 出師の巻 2 五丈原の巻
最終更新日: 約1ヶ月前