璽綬
冒頭
璽綬(じじゅ)とは、天子や皇后などが身分と権威を示すために帯びる印璽と、その印に付属する組紐や房などの飾りを指す語です。吉川英治『三国志』では、廃立や処罰の場面で「璽綬を解く」「璽綬を奪う」といった形で現れ、当事者の地位が公的に剥奪されたことを示す作法として機能します。董卓が現帝を廃して弘農王に落とす際、玉座から引き降ろして「その璽綬を解」く所作が描かれます 。
概要
璽は印章、とくに皇帝・皇后級の印を意味し、綬は印に結び付けて帯びる組紐や佩用具をいいます。官職や爵位に伴う印と綬は任命・権限の証拠であり、逆に没収は地位の剥奪を可視化する行為となります。作中でも、曹操が伏皇后の処分に際して御林将軍に「皇后の璽綬を奪りあげ」させ、平人に落して罪を明らかにせよと命じています 。
意味
「璽綬を解く」「璽綬を奪う」は、廃位・降格・失権を公式に示す慣用表現として用いられます。権力者が璽綬を掌握することは、当人の政治的正統性や身分を左右する実務でもあり、宮廷権力の移動を端的に表す語となっています 。
吉川三国志での扱いと史実や演義との違い
璽綬を没収して廃立・降格を示す発想自体は史実・演義にも通じ、吉川三国志でも同趣旨の政治的手続として整理して用いられます 。