穆順

穆順(ぼくじゅん)とは
吉川英治三国志』に登場する同名の人物で、宮中に仕える忠実な宦官(あるいは近臣)と、張楊配下の名槍手という二人がいる。前者は伏皇后と献帝に近侍し、後者は戦場で呂布に挑んで敗れたことで名が記される 。
 
生涯(宮中の穆順)
曹操の影響下にあった許都の宮廷で、伏皇后が父・伏完へ密詔を届けるための使者に選ばれたのが穆順である。彼は「忠節無二」と評され、詔書を髻に隠して禁門を出るが、戻り際に曹操自らの検めを受け、落ちた帽子を被り直したところを再び呼び止められ、髻の中から文が発見されてしまう 。捕縛後は拷問にかけられるも口を割らず、その結果として伏完一族の逮捕、さらに伏皇后の廃位へと事態は連鎖していく 。
 
人物(宮中の穆順)
短い登場ながら、身命をして主命を護ろうとする剛毅さが際立つ。作中では「忠節無二な穆順」という叙述が与えられ、苦痛にも沈黙を貫く姿が描かれている 。
 
関連する人物(宮中の穆順)
伏皇后と献帝からの密命を受け、宛先は皇后の父・伏完であった。事の露見後、曹操伏完三族の逮捕を命じ、御林将軍・郗慮に皇后の璽綬を奪わせるなど、宮廷は騒擾に陥る。穆順の捕縛そのものが、皇后失脚の引き金として機能している 。
 
有名なエピソード(宮中の穆順)
禁門帰還の夜、検めを逃れたかに見えた刹那、風に落ちた帽子を被り直したところを曹操に制せられ、髻の奥から密書が見つかる一連の緊迫描写は、吉川版ならではの劇的場面として印象深い 。
 
もう一人の穆順(張楊配下の槍の名手)
上党太守・張楊の旗下に、同名の名槍家・穆順が登場する。だが呂布方天戟の前には太刀打ちできず、愛槍を真二つに折られている。呂布の無双ぶりを引き立てる挿話として配される小場面である 。
 
吉川英治三国志での扱われ方と、史実と違う点
吉川版では、宮中の穆順は忠臣の典型として、槍の穆順は呂布の強さを際立たせる対照役として描かれる。いずれも物語上の機能が強い脇役で、筋を動かす「見えない蝶番」のような働きを担うのが特徴である 。
「穆順」の基本情報
総登場回数
16回
活動期間
2巻にわたって登場
初回登場
群星の巻
最終登場
図南の巻
最も活躍した巻
図南の巻 (14回登場)
「穆順」登場回数
合計: 16回
0 3 7 10 14 0 桃園の巻 2 群星の巻 0 草莽の巻 0 臣道の巻 0 孔明の巻 0 赤壁の巻 0 望蜀の巻 14 図南の巻 0 出師の巻 0 五丈原の巻
最終更新日: 28日前