蛟龍

蛟龍(こうりゅう)とは
中国の伝説に登場する龍の一種で、水や淵に潜み、やがて大空へ昇り雲雨を自在に操るとされた存在である。まだ世に出ていない英雄や隠れた才人を喩える言葉として用いられることが多い。
 
三国志における用例
吉川英治三国志』では、しばしば「蛟龍」の比喩が登場する。
 
易者の李定が、劉備の未来を「蛟龍が雲を得たように大きく変わる」と占う。劉備の飛躍が約束されていることを象徴する。
 
「蛟龍も淵に潜んでいるしかない」と語られ、英雄たちがまだ世に出られず鬱屈している心境を表す。
 
第十六鎮の軍に「深淵の蛟龍がいた」と記され、これは後に劉備玄徳を指す比喩として使われている。無名ながら将来の大器を暗示する場面。
 
・群星の巻「母と妻と友
「蛟龍の淵にひそむは昇らんがため」と述べ、時を待つ忍耐が英雄に必要であることを強調する。
 
・草莽の巻「食客
「蛟龍豈コレ池中ノ物ナランヤ」とあり、真の英雄は小さな場所に収まる存在ではなく、いずれ天下に飛翔するという意味で用いられている。
 
孔明の巻「孔明を訪う
諸葛亮を「深淵の蛟龍」と称え、隠れた大賢人が世に出ることを強く期待する劉備の心情が描かれる。
 
まとめ
蛟龍という表現は、劉備諸葛亮のように「時を待つ英雄」を象徴する比喩として繰り返し登場する。まだ世に顕れていない人物が、やがて時代を動かす存在となる予兆を示す言葉であり、物語に厚みと象徴性を与えている。
「蛟龍」登場回数
合計: 7回
0 0 1 2 3 3 桃園の巻 1 群星の巻 1 草莽の巻 0 臣道の巻 2 孔明の巻 0 赤壁の巻 0 望蜀の巻 0 図南の巻 0 出師の巻 0 五丈原の巻
最終更新日: 約1ヶ月前