柳眉剣簪
すなわち中山靖王の後裔におわし、現皇帝の皇叔にあたられる。いわんや、荊州の故主劉表とは、血縁の間柄にて、わが君の義兄たり、いまその血統絶え、荊州に主なきにあたって、義弟とし義兄の業を承け継ぐに、何の不義、何の不可とする理由があろう。――ひるがえって、呉侯孫権の素姓をたずぬれば、もとこれ銭塘の小吏の子たるに過ぎず、なんら朝廷に功もなく、ただ呉祖の暴勇に依って、江東六郡八十一州を横奪し得たるにとどまる――。今、孫権その遺産をうけて、何の能もなきに、さらに、慾心を驕り、荊州をも呑まんとするは、身の...
本文
望蜀の巻
三国志